美しい道具たちー西陣織ー

柄箔　（がらはく）

西陣織の特徴として先に染めた糸を用いて織物を織りますが、糸だけではなく箔を材料として使うことがあります。
和紙に漆を敷き、その上に金銀箔を張り付けたものを糸のような細さに裁断し、一本ずつ織り込んで行くのが箔を使用した技法です。

詳しくは美しい道具たち　ー箔ー　をご覧ください。
https://kyoto-takao.jp/blog/beautifultools0028/
その箔を製造している現場を見学してきた様子をシリーズ第2回目。今回は柄箔についてです。

漆だけの箔や金銀のみの箔も重厚感があり　それぞれの良さがありますが、面白いのは柄の入った箔です。
帯の長さを織るために使用するシートは桝屋高尾では、少なくて1.5枚。多いときには5枚使用します。
手作業のため同じ箔のシートが出来上がるわけではありません。同じような風合いのシートを作成することになります。しかし、柄箔の面白さは、微妙な違いより帯の中に豊かな表情を表現することができるのです。

柄箔を使用することは製品の風合いを出す利点でもありますが、職人にとっては神経の使う作業になります。細く裁断した箔を順番を間違わずに織入れなければ、柄が繋がらないないからです。
順調に織ることが出来ればいいですが、トラブルで織り戻さなければならない場合も大変です。使用していた箔を綺麗に取り外し順番を間違わないようにしなくては、これも柄が繋がりません。

柄箔の製造方法は、漆一色の箔と同じで均一に塗りベースをつくり、その上に金箔や銀箔などを散りばめます。
その後、どんな風に製造されているのかは箔職人それぞれの企業秘密になります。

こんな風に出来上った箔のシート。桝屋高尾の手元に届くまで　まだもう少し作業は続きます。続きは次回に！