美しい道具たちー西陣織ー

漆室　（うるしむろ）

西陣織の特徴として先に染めた糸を用いて織物を織りますが、糸だけではなく箔を材料として使うことがあります。
和紙に漆を敷き、その上に金銀箔を張り付けたものを糸のような細さに裁断し、一本ずつ織り込んで行くのが箔を使用した技法です。
詳しくは美しい道具たち　ー箔ー　をご覧ください。
https://kyoto-takao.jp/blog/beautifultools0028/
その箔を製造している現場を見学してきた様子をシリーズ第3回目。今回は漆室についてです。

漆の乾燥は、適当な湿度と、酸化重合するための温度が必要となります。そのため　漆室と呼ぶ地下の室に水をまき、3日ほど湿度で乾かします。
そもそも漆が神社等の木造物に使用されているのは、水分を飛ばし木造部分をカバーし劣化や虫食いから保護する役割があるためだそうです。
ですので、漆は塗る事よりも乾かす事の方が難しいと言われ、気使う行程です。漆が硬化するためには、温度が24℃～28℃で、湿度が70％～85%時が適していると言われています。この条件から外れた環境では、乾き難くなったり、塗り肌が悪かったり等の支障が出てきます。

その後上に引き上げて　また乾燥させます。

100度でおよそ8時間にわたり熱乾燥をさせますが、それでも冬は乾かないそうです。
工程は漆器と同じで艶を出すためには、大変な作業になります。全ての工程が手作業で、それぞれの漆工房で試行錯誤して美しい箔が出来上がるのです。