美しい道具たちー手描京友禅ー

⑨　伏糊（ふせのり）

地色を染める際、模様の部分に色が入るのを防ぐために必要な工程です。

まず、ふちくくりと言われる、糸目糊置きに沿ってその内側を隙間が
あかないように糊をおきます。
糊を入れる小筒の先金は、糸目糊よりも穴が大きいサイズです。

次に、べた伏せと言われる、模様の中全部に糊をおきます。
糊を入れる筒は、平筒で20～25センチメートルの長さの大きな筒に
先金は3㎝ほどの幅広い平金を使用します。

伏糊が終われば、糊に含まれている空気を抜きます。
表面に浮き出た気泡をシュロなどの手帚で、軽く掃くようにします。

糊が固くなると気泡がつぶれても、穴が残りそこに染料液が入ってしまうので
手早く泡抜きします。

糊が乾燥しないうちに、全体に挽粉（木材のおがくずをフルイにかけて
細かい粒子にしたもの）をふりかけます。
挽粉は、糊の表面を保護し、後に行う引き染めや、蒸しの工程のとき
糊が柔らかく戻り、他の生地に付着するのを防ぐために必要です。